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三津があの父親と壬生寺を後にしたの

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三津があの父親と壬生寺を後にしたの

三津があの父親と壬生寺を後にしたのを子供達が見ている。

 

 

『私がどこへ行ったか聞かれたら,みんなあのお父さんの事言うんやろな。』

 

 

そうしたら,あの父親は詰問される。

 

 

 

お三津はん堪忍な” 快速瘦面

 

 

 

あの時の申し訳なさそうな声が三津の耳にこびりついていた。

 

 

『多分脅されてはったんやろな。

そうやないと絶対あんな嘘つかんよね。

普通の人が新選組に楯突くやなんて絶対出来ひん。』

 

 

土方の本気で怒る姿を想像すると体が震え上がる。

 

 

彼に悪気はなかったはず。

悪いのはホイホイとついて行った自分だ。

三津は自分を責めた。

 

 

「はぁ。」

 

 

空になった湯呑みに視線を落として大きな溜め息をつく。

 

 

「俺と居るのはそんなに退屈?」

 

 

顎に手がかかり,吉田と近距離で顔を突き合わせ羽目に。

 

 

「そうやなくって。」

 

 

「分かってるよ冗談。」

 

 

こんな時にこんな事しか言えず,吉田も溜め息をつきたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

普段なら巡察から帰って来た者,これから行く者が腹ごしらえをする時刻。

 

 

近藤の部屋に幹部達は集まり,その中心には後ろで手を縛られたあの父親。

 

 

屯所では三津の予想通りの出来事が起こっていた。

 

 

「三津が子供の父親について行ったきり姿が見えない?」

 

 

土方の所へ泣きじゃくる子供の手を引いたたえが相談に来た。

 

 

「そう,お寺に呼びに行ったらおらんくて子供らがそう言うんです。」

 

 

こいつの父ちゃんとどっか行ったんや。って。

 

 

子供達は口を揃えてそう告げて,この子を指差した。

たえが見たありのままを聞いて土方は口角を上げた。

 

 

「はっ!いい度胸じゃねぇか。

その父親を探し出して連れて来るまで,それまでそのガキはうちで丁重に預かろうじゃねぇか。」

 

 

土方の顔見た子供は恐怖のあまり泣くのを止めた。

たえにしがみついてその背中に隠れる。

 

 

「たえ,今日の仕事はもういい。三津の部屋でそのガキの相手をしてろ。」

 

 

土方は刀を手に立ち上がると足早に部屋を出た。

 

 

「今手の空いてる奴,ついて来い!」

 

 

怒声を響かせながら廊下を行くと,その背中に暇を持て余していた隊士がぞろぞろ列をなした。

 

 

それから父親が屯所に連行されるまで時間はかからなかった。

 

 

そして今,部屋の真ん中にいる。

 

 

「で?うちの女中どうしてくれたんだ?」近藤と土方を前に,父親はぐっしょり汗を掻き,震えのせいでガチガチと歯が鳴る。

 

 

「どこの何奴に頼まれた,吐け。」

 

 

「それは分からんっ,脅されてたんや,お三津はん連れて来な息子殺すや家に火を放つや言われたんやっ!

すんまへんすんまへんっ!!

 

 

父親は体を折り曲げ,畳に額を擦り付けて許しを乞う。

だが土方は父親の肩を掴み目を逸らす事すら許さなかった。

 

 

「知ってる事は全て吐け。」

 

 

「歳,彼にはゆっくり事情を聞くとしよう。

それより巡察の手配は普段通りでいいのか?」

 

 

そんな土方を宥めながら,近藤はちらっと幹部の面々を見渡す。

誰もが今すぐ飛び出せるといった顔で土方の指示を待つ。

 

 

……巡察範囲を広げろ。

見廻組の縄張りなんか気にするな。

怪しいと思った輩はすぐ取り押さえろ。いいか?あくまで捕縛だ,斬るんじゃねぇぞ。

分かったか!総司!!

 

 

「何で?何で私だけ名指しなんですか?」

 

 

おかしいですよね?と隣りの斎藤を肘でつく。

 

 

『さて教えてやるべきか……。』

 

 

総司本人はへらへら笑ってるつもりかもしれない。

 

 

『笑ってるなんてとんでもない。今すぐこの男を斬り殺したいって目をしてるのだが……。』

 

 

それでも総司は平静を装っているつもりらしい。

 

 

 

 

 

平静を装っているつもりの男がもう一人――

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